脱臭技術 | 概 要 | 長 所 | 短 所 | |
吸着法 | 交換式 | 臭気物質を吸着剤で吸着する。破過(寿命)に達した吸着剤は新品や再生品に交換する。 | 設備費が安価。維持管理が容易。他脱臭法の仕上げ脱臭処理が可能。 | 高濃度処理では吸着剤交換が頻繁。温湿度影響を受易い。細孔閉塞対応が必要。 |
ハニカム濃縮式 | ハニカム状吸着ローターを回転させ、連続吸着しながら、一部を加熱脱着再生する。 | 大風量低濃度から小風量高濃度に変換し、後処理装置(燃焼・回収)の小型化が可能。 | 後処理装置(燃焼・回収)が別途必要。再生能力を上回る高濃度処理は困難。 | |
固定床回収式 | 複数の吸着塔で吸着と水蒸気脱着(加熱置換)を繰り返し、脱着後は冷却凝縮回収する。 | 臭気物質を燃やさず回収が可能。処理風量変動に対応可能。 | 水蒸気脱着のため多量の廃水処理が必要。水溶性臭気物質の分離回収困難。 | |
流動床回収式 | 球状活性炭が吸着部と脱着部を循環し、吸着と窒素脱着を繰り返して冷却凝縮回収する。 | 窒素脱着のため廃水処理不要、水溶性臭気物質の回収可。ケトン系臭気も回収可。 | 操作が複雑で高価。大幅な風量変動には対応できない。装置高さが高い。 | |
燃焼法 | 直接燃焼式 | 臭気物質を約650~800℃で燃焼し、酸化分解する。 | 維持管理が容易。脱臭効率の経年低下や、処理臭気の制約が殆どない。 | 燃焼温度が高く、熱回収が低いため運転費が高い。サーマルNOx発生量が多い。 |
触媒燃焼式 | 直接燃焼法に触媒を加えて、臭気物質を約200~350℃の低温で酸化分解する。 | 直接燃焼法より運転費が安い。サーマルNOx発生量が少ない。 | 触媒被毒物質の存在調査やダミー触媒等の前処理必要。永久的批毒披毒では触媒交換。 | |
蓄熱燃焼式 | 燃焼廃熱を高効率で蓄熱・熱交換して臭気物質を約800~1000℃で酸化分解する。 | 燃料消費量が少なく運伝費が非常に安い。 | 広い設置場所が必要で装置重量が大。ハニカム状蓄熱材の閉塞対策が必要。 | |
オゾン脱臭法 | 乾式 | 放電や紫外線で発生させた気相オゾンを臭気物質に接触させて酸化分解する。 | 原料は空気中酸素であり維持管理が容易。マスキング効果が期待できる オゾン殺菌作用で微生物の繁殖を抑制し防臭効果も期待できる。 | 廃オゾンの除去設備が必要。放電によるオゾン発生ではNOx発生を伴う。化学的に安定しているアンモニア除去は困難。オゾンが接する機器等の腐食対策必要。 |
湿式 | 放電や紫外線で発生させた気相オゾンを水に溶解し臭気物質に接触させ酸化分解する。 | |||
プラズマ脱臭法 | 放電式 | 高電圧放電により発生させた低温プラズマ内活性酸素種等で臭気物質を酸化分解する。 | 適用できる濃度範囲が広い。運転操作が簡単。起動時間が短い。 | プラズマ領域に臭気が通らないと反応しない。放電極の定期洗浄が必要。 |
光触媒脱臭法 | 紫外線式 | 光触媒反応で発生した活性酸素(OHラジカル等)を臭気物質に接触させ酸化分解する。 | 光触媒への紫外線照射のみで臭気分解が可能。オゾンレス酸化である。 | 臭気物質が光触媒に接触しないと反応しない。定期的にUVランプ交換が必要。 |
生物脱臭法 | 土壌式 | 臭気を土壌中に通気し、吸着・吸収された臭気物質を土壌微生物で分解する。 | 運転費が安価。維持管理が容易。薬品使用がないため環境影響がない。 | 広い敷地面積が必要。定期的に散水が必要。経時的に土壌通気抵抗が増加する。 |
充填塔式 | 臭気を微生物充填担体を取り付けた充填塔に通気し、微生物で臭気物質を分解する。 | (薬液洗浄法と比べて)運転費が安価。維持管理が比較的容易。 | 生物分解できる臭気物質に限定。散水し充填担体の保水性維持が必要。ph調整要。 | |
活性汚泥 ばっき式 |
臭気を活性汚泥槽に吹き込み分散させ、汚泥中の微生物で臭気物質を分解する。 | 臭気物質と微生物が接触し易い。維持管理が容易で運転費が安価。 | ばっ気可能な排水槽が必要。大風量臭気の処理困難。処理後に弱い汚泥臭が残る。 | |
活性汚泥 スクラバ式 |
臭気を活性汚泥液を用いたスクラバー塔に吹き込み分散し、汚泥中微生物で分解する。 | 圧力損失が小さく運転費が安価。薬品使用がないため環境影響がない。 | 臭気と微生物との接触確率が低い。定期的に汚泥入れ替えや、引抜き処分が必要。 | |
消・脱臭剤法 | 噴霧式 | 消・脱臭剤を気化させて混合し,中和、隠蔽などで感覚的に臭気を和らげる。 | 取り付けが容易で装置が安価。低濃度臭気であれば維持費が安価。臭気発生源が広範に分散し、捕集が困難な場合でも対応可能。 | 臭気指数が上昇する場合がある。臭気の発生間隔や発生量が大きく変動すると,消・脱臭剤の濃度調整が困難である(噴霧量が多いと不快に感じる)。 |
気化式 | 消・脱臭剤を気化させて混合し,中和、隠蔽などで感覚的に臭気を和らげる。 |
出典:2014 11・12 環境浄化技術 株式会社朝日工業社「悪臭規制動向と既存脱臭技術の概要」より